3次元空間内の能動音響制御

日常生活で遭遇する様々な騒音を能動的に抑制する制御手法について研究を進めています.能動的音響制御は,原理的には騒音と逆位相,同振幅の制御音を干渉させれば実現できますが,実際には対象音以外の環境騒音や音源,制御点の移動によって,制御効果が想定通りに得られないことが多くあります.このような実際的な音場に対しても有効な制御手法の研究を行っています.

日常生活の騒音 無響室
日常生活の騒音 実験の様子(無響室)
能動音響制御の概要
能動音響制御の概要

能動的遮音壁による騒音低減

様々な場面で使用されるパーティションにはある程度の受動的遮音効果がありますが,1kHz以下の低周波数音に対してはほとんど効果がありません.本研究ではパーティションに対して能動音響制御技術を適用することで低周波数から高周波数まで広い周波数範囲で有効な制御要素とすることを目的としています.

本研究の応用分野:オフィス等での広帯域遮音

評価点の移動に追従する能動音響制御

制御中に制御対象領域を移動させることができれば,制御対象者が移動しても制御効果が損なわれないことになり,能動的音響制御の実用化に対して大きな利点となります.本研究ではできるだけ少ない計算量で効果的な制御手法の確立を目指します.

本研究の応用分野:一般的な居室での能動消音

衝撃音を対象とした能動音響制御

他人同士が,壁,床,天井を隔てて生活する集合住宅では,騒音によるトラブルが非常に多く発生しています.この騒音の多くは足音や床に物を落としたときに発生する,低周波数にピークを持つ衝撃音です.本研究では,衝撃音に対して有効な能動音響制御を開発することを目的としています.

本研究の応用分野:集合住宅